橳島次郎

たとえば、生命科学の世紀を拓いた最も偉大な発見の一つ、DNA の分子構造を解明したジェームズ・ワトソンは、共同研究者クリックとともに、競争相手の他の研究者のデータをこっそり見てまでも、自分たちが知りたいことを知ろうとする。そうした研究姿勢に、生化学者江上不二夫は違和感を表しつつも、日本の科学が一流になるためには、そういう科学者が出なければならないと認めている(ワトソン『二重らせん』とその訳者あとがき)。